

高齢の親が体力の衰えを感じ始めている・・・

年齢を重ねてもできるだけ元気に過ごしたいが、具体的に何をすればいいのかわからない。

健康寿命を長く維持するには、運動と栄養管理が大切です!
理学療法士のぽんたが健康を維持するための秘訣を解説していきます。
「体力の衰えを感じている」「迷惑をかけずに健康に暮らしていきたい」・・・
こんな思いをお持ちの方はたくさんいらっしゃるかと思います。
この記事では理学療法士の視点から、高齢者の体力維持に欠かせない運動と、それをサポートする食事(栄養)についてわかりやすく解説します。
なぜ高齢者に「運動」が大切なのか?
運動が体力維持の土台


加齢とともに筋力やバランス能力が低下すると、プレ・フレイル(前虚弱)やフレイル(虚弱)という状態となり、要介護状態に陥りやすくなります。
また、筋力の低下は転倒を引き起こしやすくなります。高齢者の転倒は、骨折に繋がりやすいと言われており、骨折すると長期臥床を余儀なくされてしまいます。たった1日の間、寝たきりの生活を送るだけで、1〜3%、1週間になると10〜15%の筋力が低下してしまいます。一度筋力が低下してしまうと、簡単には戻すことが難しく、結果として要介護状態になってしまうことが少なくありません。
適切な運動を続ければ、筋力やバランスをある程度維持することができ、健康寿命を長く保てる可能性が高くなります。
生活の質(QOL)と気分の向上
ある研究では、高齢者の運動が身体機能だけでなく精神的健康にも好影響を与えると報告されています。屋外に出て、日光を浴びながら歩く。これだけでも気分は晴れるものです。
適度な運動によって外出機会や社会参加が増えることも大きなメリットです。外へ出て人と関わる機会を増やすことで、孤立感やうつ状態を防げる可能性があります。
【理学療法士が解説】高齢者におすすめの運動メニュー
運動の基本方針
- 無理なく続けられる強度
・週2〜3回、1回10〜20分程度の軽い負荷から始める
・疲労や痛みがあれば決して無理はしない - 転倒予防の環境づくり
・バランスが低下している方は、椅子や手すり、壁などを支えに使う
・床が滑りやすい場合は、マットを敷いたり、滑り止め靴下を履くなど工夫 - 継続が一番
・「短時間でもいいから習慣にする」ことが筋力維持・向上の鍵
具体的な運動例
筋力トレーニング
- 椅子スクワット
・椅子に浅く座り、ゆっくり立ち上がり・座る動作を繰り返す
・太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)やお尻(臀筋)の強化に効果的 - かかと上げ
・台所のシンクやテーブルにつかまり、かかとを上げ下げ
・ふくらはぎ(腓腹筋)の強化に効果的 - 足上げ
・テーブルにつかまり、膝を高く上げ下げ
・股関節(腸腰筋)の強化に効果的

かかとあげは、階段などの段差の縁を使用し、よりかかとを下におろすと効果的!
バランスに問題がない方はチャレンジしてみましょう。
有酸素トレーニング
- ウォーキング
・外の空気や景色でリフレッシュしながらウォーキング
・バランスが悪い方は、ウォーキングポールなどを使用し安全に行うと良いでしょう
・1日5000歩を目標に。ただ、無理のない範囲から始めましょう - エアロバイク
・自宅内で行えるため、「暑い」「寒い」などの影響を受けにくい
・転倒のリスクが少ない
・1回20分程度を目標に。まずは5分程度から始めてみましょう
実は、有酸素トレーニングは認知症予防にも効果的といわれています。心肺機能に負荷をかけることで、脳血流量が増加し、それとともにBDNFやIGF-1などの神経を保護する成分が出ることで認知症の予防や改善が期待されています。
運動だけじゃダメ?体力維持を支える食事も重要
運動効果は「栄養」がないと発揮されにくい
筋肉はタンパク質などの栄養素を材料に作られます。運動で筋肉に刺激を与えても、摂取カロリーやタンパク質が不足していると、せっかく運動をしても意味がないだけではなく、かえって悪影響になることも。
特に高齢者は食欲不振や咀嚼・嚥下機能の低下で食事量が不足しがちのため、意識して食事をとることが大切になります。
エネルギー不足やバランスの偏りに注意
- カロリー不足:体が不足分のエネルギーを確保しようと筋肉を分解してしまう
- ビタミン・ミネラル不足:代謝や免疫力にも影響し、疲れやすくなる
- 水分不足:脱水は運動中の体調不良を招く可能性が高くなります
高齢者の体力維持に必要な栄養素
タンパク質
- 主な役割:筋肉・臓器・血液など体の元となるもの
- 主な食品:肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など
- 量の目安:体重1kgあたり1.0〜1.2g程度のタンパク質摂取を推奨
ビタミン・ミネラル
- ビタミンD・カルシウム:骨や筋肉の健康維持
- ビタミンB:エネルギー代謝を助け、疲労回復にも寄与
- ビタミンC・E:抗酸化作用で筋肉疲労を和らげる
水分とエネルギー
- 水分補給:高齢者は喉の渇きを感じにくく、脱水リスクが高い
- エネルギー不足:カロリーが少ないと運動効果が得られにくいため、炭水化物も適度に摂取
高齢者の食事については、以下で詳しく解説にしているので参考にしてください!
運動と食事を無理なく続けるコツ
- スケジュール化・習慣化
・「朝食後の散歩」「夕食前のスクワット」など1日の生活パターンに組み込む - 少量頻回で栄養をカバー
・毎食の食事で量が食べられない方は、間食を取り入れる
・噛みやすい調理や宅配弁当、栄養補助食品の活用で不足を補う - 家族や周囲のサポート
・一人で全部やろうとせず、家族や介護サービスの力を借りる
・買い物や調理の負担を減らして、継続しやすい環境づくり
・運動も周囲の人と一緒にすることでより楽しく行なう
まとめ:運動が先?食事が先? 両方そろって初めて”体力維持”が実現
「運動 + 栄養」のどちらが欠けても、体力維持には繋がりません。どちらもいきなり完璧を求めるのではなく、無理なく開始していきましょう!
参考文献
・de Labra C, Guimaraes-Pinheiro C, Maseda A, Lorenzo T, Millán-Calenti JC. Effects of physical exercise interventions in frail older adults: a systematic review of randomized controlled trials. BMC Geriatr. 2015;15:154.
・Bauer J, Biolo G, Cederholm T, et al. Evidence-based recommendations for optimal dietary protein intake in older people: a position paper from the PROT-AGE Study Group. J Am Med Dir Assoc. 2013;14(8):542-559.
・Tang JE, Phillips SM. Maximizing muscle protein anabolism: the role of protein quality. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2009;12(1):66-71.